■プリシラ姫の場合
昼休みの城内は静まり返っている。
我が愛するメルフィラントの方々は、今ごろは和やかなランチを楽しんでいるのだろう。
俺も、警護の疲れがじわりと滲んできていたところだった。
そろそろ昼飯にしよう、と思って最後の見まわり箇所の中庭を通り過ぎようとしたときに、ベンチに座っている、ちんまりとした女の子の姿を見つけた。
あれは……プリシラだ。しゃがみこんで花壇を覗くプリシラは、嬉しそうに微笑んでいる。
「邪魔しちゃいけないな……」
俺はそそくさとそこを去ることにした。
「あーッ、お兄ちゃん。お兄ちゃんだぁ。お兄ちゃあンッ」
……足音を立てないように歩いていたのだが、あっさりと見つかってしまった。
プリシラは、甘えた声を出してとてとてと駆け寄ってくる。
プリシラの仕草一つ一つは、まだあどけなさが多く残っていてとても愛らしい。
俺は赤らんだプリシラの頬を見つめながら、はたと立ち止まった。
「ねぇねぇお兄ちゃん、お昼休み? ご飯の時間かなぁ? お暇は有る?」
「ああ。今は暇だよ」
「そうなんだぁ。えへへ、だったらぁ、プリシラと一緒にお花を見ようッ。綺麗なお花さんがいっぱいだよ?」
プリシラは小さな手ではしっと俺の手を握り、ぐいぐいと俺を導く。
プリシラの手は驚くほどに柔らかく、その指はほっそりとしている。
暖かい手のひらを感じながら、俺はぐいぐいと引っ張られるままにプリシラについていく。
「ここのお花さん、綺麗だよね? プリシラ、綺麗なお花さんが大好きなんだぁ」
俺を花壇の前まで連れてきたプリシラは、機嫌良くしゃがみこむ。
元気一杯なのに女の子らしさが薄くないところがプリシラのいいところだ。
アイリーンのヤツにプリシラの爪のアカを煎じて飲ませてやりたい……本人の前ではこんなこと決して言えないけど。
「ねぇねぇ。このお花さん、なんて言う名前なのかなぁ? とっても綺麗な色で咲いてるよッ」
元気いっぱいのプリシラは、目を輝かせて色とりどりの花に見入っている。
「なんだろう……俺、花のこととか良く分からないからなぁ」
「そうなんだぁ。プリシラね、最近ね、花言葉に夢中なんだぁ。素敵なんだよ。お兄ちゃんは花言葉って知ってる?」
「いや……ごめん。良く分からない」
「……あのね、あそこお花さん、見えるでしょ? あのお花の花言葉ってね、『私を想って下さい』なの。プリシラの気持ち……そのままだよ」
「え?」
「プリシラね、もっともっといっぱい勉強して、大人になって、今よりもっとお兄ちゃんに好きになってもらうんだぁ」
両手を広げて俺を見上げるプリシラの瞳は純粋そのものだ。
きっと、その気持ちは年上の男性に憧れだろう。
妹が兄を慕う気持ちとそう変わらないはずだ。
その気持ちはありがたいのだが、俺なんかが相手でいいのだろうか、と言う気持ちが少なからずある。
俺はにこやかなプリシラに近づき、そのさらりとした髪の毛を梳くように撫でる。
プリシラは、初めは意外そうな顔をしていたが、何回か撫でているうちに、子猫のように気持ちよさそうに目を細めた。
「ホントにプリシラは、頭を撫でられるのが好きなんだな」
「えへへ……だって、お兄ちゃんに撫でてもらってるんだもん。とっても嬉しいの……」
プリシラは上目遣いに俺を見上げる。
プリシラのあどけない愛らしさに、俺の胸が一瞬、跳ね上がる。
「ね、お兄ちゃん……プリシラ、もっとお兄ちゃんとお話したいの。いっぱいいっぱい、構って欲しいの」
「う……うん。プリシラのお願いなら……」
「ホント? 一緒にいてもいいの?」
「あ、ああ……昼間は、お仕事があるからダメなんだけどさ」
見回りにしろ書類作成にしろ、俺達みたいな下っ端には仕事が多い。プリシラのお願いを聞きたいのは山々なのだが、いかんせん時間が無い。
「ね……だったら、夜なら大丈夫……だよね?」
「え? あ……う、うん、まぁその……大丈夫、だけど」
「えへへ……プリシラ、お兄ちゃんと一緒にいたいから……今夜、お兄ちゃんのお部屋に行きたいの。いいかなぁ? それとも、ダメ?」
「だ……ダメなんかじゃないよ。来てくれ。お、俺も、その……嬉しいからさ」
プリシラの純粋な気持ちに付け込んでいるような気分で胸がチクリと疼くが、プリシラの可愛らしさと純粋な瞳にはかないっこない。
俺は、一気に顔を赤らめて、うつむき加減に無言で走り去っていくプリシラの後ろ姿を見つめながら、プリシラの愛らしさに麻痺していた空腹感がよみがえって来るのを感じていた。
……その夜。
「お兄ちゃんったらぁ……ジロジロ見すぎだよぉ」
恥ずかしそうに俺を振り返るプリシラは、肌を赤く染めている。
脱いでいるところを間近で見られるのは抵抗があるのだろう。プリシラは俺とは斜の立ち位置で、服を脱いでいた。
「だって、プリシラが可愛いからさ……いいだろ? プリシラのかわいいところ、もっと見せてくれよ」
「やぁん……お兄ちゃんのエッチィ」
イヤイヤをするように身をよじりつつも、プリシラは俺のお願いを聞くかのように、こちらに身体を振り向かせる。
プリシラの肢体は、スレンダーな外観とは裏腹に、女性的なものを芽吹かせ始めている。
ぷっくりとした形の良いプリシラの唇が、恥ずかしそうに引き結ばれている。
流れ落ちるようなうなじに、それに沿って下を見ると、控えめなバストが伺える。
その膨らみは、二人の姉に比べればまだまだ小さいのだが、美しい流線型を保っており、将来への希望を抱かせてくれる。
膨らみの頂点でツンと立つピンクの突起は、感度では負けないということを実証しているかのようだ。
むちっとした肉感はまだ無いのだが、ふるふるとした太ももはひどく柔らかそうだ。
そして……その付け根では、薄い茂みに守られるように、一本の縦筋が走っている。
まるで汚れを知らないプリシラの美しい秘所だ。ぴたっと閉じた割れ目から赤い膣肉を覗かせている……
俺はほとんど上せたような気持ちのまま、プリシラの美しすぎる肢体に見入ってしまっていた。
「やぁ……お願い、見ないでったらぁ。お兄ちゃんの意地悪……」
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