■アイリーン姫の場合【投票後本編】
「アイリーンって、綺麗な身体してるよな」 |
俺は、背中から俺にもたれかかってくるアイリーンをしゃがみこんで受け止めつつ、ダイナミックに腰を上下させる。 そして次の日…… 「……クレストのバカ。優しくしてねって言ったのに、あんな無茶して。私、アッチは弱いって言ったのにッ。強引すぎるわよッ! もう、バカッ」 俺は中庭の見まわりをしている最中、一人でよたよた歩いているアイリーンを見つけた。どうしたのかと話し掛けたら、開口一番文句を言われてしまった。 「い、いきなりそんなこと言われても……お前だって気持ち良いって言ってたじゃないか」 「言ってなーいッ。私がそんなこと言うはず無いもん。私があんたみたいなエロエロ男に気持ちよくされちゃうわけないでしょッ」 な、何て言われようだ。俺達、けっこういい感じになっていたと思ったのに、あれは俺の思い込みだったのだろうか。 「わ、分かったよ……調子に乗った俺が悪かった。何でも言うこと聞いてやるよ」 「へえ、ホント? ホントに何でも聞いてくれるの? じゃあ……今夜、今夜もクレストのお部屋、行ってもいい?」 「え……? だ、だって今さっき、お前、嫌だって……」 「何よぅ。嫌だなんていってないわよぅ。あんた、私と一緒に居るのは嫌なの? 昨日の言葉、アレは嘘なの?」 昨日の言葉……ずっと一緒にいるとか何とか言う、あの言葉だろうか。気持ちよくなっていたアイリーンが弾みでこぼしたようなものだと思っていたのだが。 「い、いや、それはその……嘘じゃないけど」 「じゃあいいじゃない。私、もっとクレストと一緒に居たいもん。たっくさん一緒に居て、たっくさん遊んで……その……たっくさん、エッチなこと、しちゃうんだから」 赤く腫れあがったかような顔を俯かせて、アイリーンは尻すぼみな声を上げる。 「一緒に居たいっていうのは、私の正直な気持ちなんだよ……? だから……ね」 アイリーンの明るくはにかむような微笑みが、やんわりとした優しい女性の……妖艶な色香すら漂わせる女性的な微笑みに変わる。 俺はアイリーンが女として成長しているのだということを、はっきりと感じ取っていた。 「わ、分かった。お前がそれでいいなら、俺は文句はないよ」 「あ、あははッ……良かったッ。じゃ、今夜も……ねッ」 アイリーンが俺の側に駆け寄り、ふわっと俺の口に桃色の唇を重ね合わせる。 不意に俺の唇に重なったしっとりとした感触に、俺が呆然としていると、アイリーンは伏し目がちにほくそ笑みつつ駆け去っていった。 俺は、どこまでも澄み渡る青空の下、アイリーンの背中を見送りつつ、メルフィラントに流れる穏やかで平和な空気をかみ締めていた。 |